ウィーン旧市街地の観光を終え、いよいよ今回の旅行のメインイベントであります、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のジルベスターコンサートです。
行程① 移動 成田→モスクワ
行程② 移動 モスクワ→ウィーン
行程③ 滞在 ウィーン ※今ココ
行程④ 移動 ウィーン→モスクワ
行程⑤ 移動 モスクワ→ウィーン
場所は言わずもがな、楽友協会(Musikverein)です。
地下鉄(U4)Karlsplatz駅から徒歩数分の距離にあります。
宿泊しているホテルも地下鉄(U4)の最寄り駅にありますので、乗り換え無しで非常にアクセスしやすかったです。
前日に会場を下見
当日、会場まで迷わない様に前日に下見しました。
昼の写真は前日の下見の時の写真です。
最寄り駅のKarlsplatz駅の反対側の出口には、オペラハウスがあります。
あの有名な楽友協会にやってきました。
テレビやDVDで見た場所が目の前にあります。
クラシックの世界では多分、世界一有名な演奏会場です。
とても風格のある建物です。
会場の横にはニューイヤーコンサートの中継車と思われる車両が停まっていました。
このアンテナから全世界に生中継されるのでしょうか。
故障したら大変です。
会場前には簡易スタジオがありました。
後からわかったのですが、これは日本のNHKの生中継用のスタジオです。
また周囲には、会場を映すカメラが無防備に置かれています。
ジルベスターコンサート当日
ここからはコンサート当日の写真です。
この日のために購入したブラックスーツとシルバーのネクタイを着用して会場にやってきました。
開演1時間前ですが、入り口は賑わっています。
日本人のツアーバスがやってきました。
私の様な完全個人旅行ではない、日本人ガイドが付く安心ツアーです。
たしか1月1日のニューイヤーコンサートは、エコノミークラスでも一人100万円以上したと思います。
(ジルベスターの方はそこまでしなかったと思います)
このバスに乗車しているのは限りなく100万円に近いウン十万円チケットの集団になります(笑)
ちなみに私は、チケット(代理店経由)と航空券(ビジネスクラス)とホテル(四つ星)を自分で手配した個人旅行です。
航空券、コンサートチケット、ホテル代込みでも、おそらくツアー(エコノミークラス)の半額以下です。
色々な角度から写真を撮ります。
では、ついに中に入ります。
会場は、1階ロビーは撮影禁止です。
カメラで撮影しようとした人は、スタッフに注意されていました。
ロビーは大勢の人で大変賑わっています。
1階のロビーは下記の様な感じです。
(うろ覚えのため、若干まちがっているかもしれません。ざっくりとした目安として捉えて下さい)
チケットチェックは上記図の「色付けしているホールへの階段」の下にスタッフが立って行っています。
したがって1階ロビーエリアは、チケットを持っていなくても、誰でも入ることが出来ます。
クロークは上記5ケ所以外にも2階席ホール入り口にもあります。
必ずクロークでコートを預けてホールに入ります。
クローク担当のスタッフは、テキパキとコートを預かっていきます。
日本のコンサート会場のクロークスタッフよりも倍近い速さの動きでコートを捌いていきます。
日本のクラシックコンサートではコートやかばんを持ったまま座席に座ってもOKですが、楽友協会のジルベスターコンサートではマナー違反です。
(もしかしたらスタッフに止められるかもしれません。誰もそんな人はいなかったので実際のところは分かりませんが)
クロークは有料ですが、1ユーロもしませんので必ず預けましょう。
おそらく、このジルベスターコンサートのフォーマル度はクラシックコンサートでは最高峰クラスに該当するはずです。(夜のジルベスターコンサートは、昼のニューイヤーよりフォーマル度は高いと言われています。チケット代理店の方からもドレスコードはフォーマルと連絡がありました)
座席カテゴリーについて
ジルベスターコンサートでは、各座席カテゴリー毎に入り口が決まっており、自分のチケットに記載の座席カテゴリーの入り口にいるスタッフにチケットを見せて先に進みます。
階段下にチケットチェックのスタッフが立っている横の壁に該当する座席カテゴリーが表記されています。
私のチケットは、Galerie(ギャラリー)で、いわゆる3階席です。
カテゴリー7の座席です。
ジルベスターコンサートは、この座席カテゴリークラスでも正規料金で360EUR(約44,000円)もします。
ニューイヤー専用の楽友協会の座席カテゴリー表です。
カテゴリー表記無し版の座席表です。
座席エリアと呼び方を下記にまとめました。
階数 | 場所 | 呼び方 |
1階席 | 前方 | Cercle(サークル) |
中央~後方 | Paeterre(パルテレ) | |
ステージ左右前方 (オーケストラ横) |
Orchester(オーケストラ) | |
ステージ左右後方 (オルガン下) |
Podium(ポディウム) |
|
最後方(立ち見) |
Stehparterre(シュテーパルテレ) |
|
2階席 | 前方 |
Orgelbalkon(オルゲン・バルコン) |
後方 | Balkon(バルコン) | |
右側 |
Balkon Logen(バルコン・ロジェ) |
|
左側(前方・後方) |
Balkon Logen(バルコン・ロジェ) |
|
左側(中央・前) |
Fremden-loge(フレームデン・ロジェ) |
|
左側(中央) | Direktions-loge(関係者席・購入不可エリア) | |
左側(中央・後) | Gastloge der Direktion(関係者席・購入不可エリア) | |
3階席 | ー | Galerie(ギャラリー) |
実際のチケットを見て分かる様に日本のコンサートチケットみたいに1階席、2階席といった表現はせず、カテゴリー毎に固有名詞があります。
私のチケットは「3階席・2列目・右から10番目」になります。
私は、自分の座席カテゴリーの入り口が見つからず、ロビーを若干さまよいました(笑)
分からなければ素直にスタッフにチケットを見せれば教えてくれるので、時間が無い方は聞いた方が確実です。
開演まで十分時間がありますので、1階のロビーチェックを兼ねて自分のカテゴリーの入り口を奥から探します。
結局、自分のカテゴリーの入り口は、1階ロビー出入口の右隣で、一番最後に発見しました。
チケットを見せた際、スタッフはチケットを細かくチェックする様子はありませんでした。
チケットを見せて階段を上がっていきます。
(体が不自由な方のためのエレベーターもありますので、階段を上るがキツい方も大丈夫です)
黄金のホールとドレスコード
いよいよホールに入ります。
あの黄金のホールが自分の視界に入ってきました。
天井の黄金の装飾がまぶしいです。
吊り照明も素敵なデザインです。
2階席(Balkon)を横から撮影。
女性陣の服装はみなさん気合が入っています。
2階席(Balkon)横にある階段から3階席(Galerie)に進みます。
この階段は左右にあります。
こういった入口の扉の上の細かい装飾も凝っています。
3階席(galerie)を横から撮影。
休憩中のトイレ横のスペース。
ものすごい人です。
2階席横の廊下。
ホールとは異なり非常にシンプルな造りです。
夜の暗さに会場の照明と相まって独特の輝きを放っています。
ロビーは撮影禁止ですが、ホールは撮影OKですので皆さん写真を撮りまくっています。(日本とは真逆)
そして日本人もめっちゃ多いです。
海外でこんなに日本人を見たのは初めてです(笑)
写真を見て分かる通り、ドレスコード(服装)はバリバリのフォーマルです。
男性はタキシード or ブラックスーツ、女性は日本の結婚式の1次会、2次会クラスです。
ジャージやパジャマを着ていても追い出されはしません(たぶん)が、国境を越えた周りの超絶冷たい視線と無言のプレッシャーに耐えられるだけの「鋼の心」を超えた「ウルツァイト窒化ホウ素級の心」が必要です(笑)
来年以降でジルベスターコンサートに行きたいと考えている方で、服装でお悩みの場合は、このブログの写真を参考にしていただければと思います。
黄金のホールの構造
この黄金のホールですが、横断面が下記の様になっており、2階席の天井上に3階席を設置する構造では無く、階段状になっており、ステージからホール天井に届いた音の反響が直接座席に届く構造となっています。
このため、2階席、3階席でも音響が損なわない構造となっています。
2階席側から見た3階席です。
2階席の上に3階席がある構造ではなく、階段状になっています。
日本の大半のコンサート会場は、下記の図の様に2階席の上には屋根があり、その上に3階席を設けている構造となっています。
このため、1階席の奥や2階席の奥だと天井があるため、音響的にはイマイチと言われています。
黄金のホールの構造ですとたしかに、どの席でも音響が損なわれにくいですね。
この構造も世界トップクラスの音響と言われている理由の一つでしょうか。
ぜひ日本のコンサート会場でも採用して欲しい構造ですが、デッドスペースが増え、単位体積当たりの座席数が減少するので、収益面を考えると採用は難しいのでしょうか。
各カテゴリー別の座席からの見え方(抜粋)
開演まで時間がありますので、2階席、3階席の一部座席限定ですが、座席カテゴリーからのステージの見え方をご紹介したと思います。
1階席はチケットカテゴリー上、入ることができませんので、2階席、3階席限定です。
写真は、開演前、休憩中、終演後にだれも座席に座っていないのを確認して、なるべく目線付近からカメラの撮影をしました。
(ここで現地で購入したシャッター音を消したスマホが大活躍しました。「カシャ」、「カシャ」音を出すと、やはり周りの目を気にしてしまいます)
楽友協会黄金のホールでの座席からのステージの見え方の参考にしていただければと思います。
※一部座席にについては、撮影場所がうろ覚えのため、間違っているかもしれません。予めご了承下さい。
今回の私の座席。
(3階席:Galerie 2列目中央付近)
※黄色丸部
ステージ全体が良く見えます。
2階席後方(Balkon)
※赤丸部
当然、3階席よりもステージがよく見えます。
3階席は吊り照明と同じ目線に座席がありますが、2階席は吊り照明の下に座席がありますので照明のまぶしさは全く気になりません。
(3階席でも私は気になりませんでしたが)
2階席右(balkon Logen)の最後方最後列。
※赤丸部
座った状態です。
ほんのわずかにステージが見えます。
立った状態です。
座った時よりはステージは見えますが、それでも、ほとんど見えません。
2階席右(balkon Logen)の後方最後列。
※赤丸部
(多分この場所だったと思います。。。)
座った状態。
ステージは良くて1/5程度見えるといった感です。
立った状態。
ステージは1/3程度見えます。
2階席右(balkon Logen)の前方。
※赤丸部
この位置だと、ほぼステージは見えます。
ほんの少しだけ見えませんが、おそらく気にならないレベルと思います。
2階席右(balkon Logen)の前方ステージ横。
※赤丸部
個人的に私は日本のコンサート会場では、この場所が一番好きです。
2階席右(balkon Logen)の最前方ステージ横。
※水色丸部
2階席前方(Orgelbalkon)。
※赤丸部
Balkon Logen最前方(水色丸部)。
オルガンがあるため、ステージは一部しか見えません。
Orgelbalkon(赤丸部)
座席表に記載の通り、ステージは全く見えません。
Orgelbalkonは、もしかしたら見えるかもと、1mmも期待してはいけません。
まさに昔のAKBのコンサートであった「音席」です。
こういった座席にステージを映したモニターを設置すると良いと思うのですが。。。
楽友協会のスタッフの方、ご検討下さい。
黄金のホールの座席の質
座席は、決して新しくはなく、木造の椅子です。
長時間座っているとお尻が痛くなってきます。
また、床と座席共に木製で、座席が隣と繋がっているため、付近の観客の振動がそのまま伝わってきます。
実際、喜歌劇「軽騎兵」序曲の、あの有名フレーズの時、誰かが曲に合わせて体を動かしたため、思いっきりその動かした体のリズムが伝わってきました。
「ノリ」が良い曲では振動を覚悟する必要があります(笑)
問題点がありました
3階席最前方右端には可動式の遠隔操作カメラがありました。
下記図および写真の赤丸の部分にあります。
上記写真右上にホール全体を映す可動式のカメラがあります。
このカメラが最悪で、コンサート序盤は音もしなくスムーズな上下運動をしていましたが、コンサート中盤からは故障したのか「ブイーン」といった音をたてて上下運動をするようになり、PP(ピアニッシモ)の演奏中でも「ブイーン」と音をたてるものだから演奏会の雰囲気を見事に破壊してくれました。
(音量的には多分ステージまでは聞こえてはいないと思いますが、2階席後方までは聞こえていたと思います)
途中から会場スタッフの方も来ていました。
一瞬直ったかと思いましたが、やっぱり「ブイーン」とひたすら音をたてていました。
グリースでも不足していたのでしょうか?
KURE 5-56を吹きつけたい気分です。
はたして、明日のニューイヤーまでに修理するでしょうか?
注意点があります(2階席、3階席)
黄金のホールですが、3階席は演奏が進むにつれ徐々に暑くなります。
ウィーンの1月の外の気温は非常に寒いですが、外の気温を考えた服装をすると後悔します。
暖かい空気は上昇するため、天井に近いほど温度が上昇します。
コンサート後半では2階席、3階席の観客は演奏中に手で扇いている方が結構いました。
私も汗をかいてはハンカチで拭いての繰り返しで聴いていました。
外は極寒でも会場内はもはや低温サウナに入っている気分です。
隣の座席の日本人女性もかなり暑そうで、何度も汗を拭いていました。
来年以降でジルベスターコンサートに行く方で2階席、3階席の場合は、
・男性・・・スーツは冬用ではなく夏用で。下着はヒートテックではなく、エアリズムを推奨します。
・女性・・・肌の露出が多い(熱が逃げやすい)ドレスを推奨します。
これ、結構本気です。
ただし、外は相当寒いですので、しっかりとした厚手のコートで体を守って下さい。
最後に
色々会場自体の問題点はありましたが、演奏はとてもすばらしく、また黄金のホール独特の音響でとても深みのある、そしてよい意味で流れる様な表現の演奏で、いままで日本の演奏会では聴いたことがない感覚でした。
さすがウィーンフィルです。
そして指揮者のアンドリス・ネルソンスも素晴らしかったです。
実は私と同い年です。
まさに同年代の誇りです。
また是非訪れて聴いてみたいコンサートです。
この後、一旦ホテルに帰り着替え、カウントダウンを見に行きます。
ご覧いただき、ありがとうございました。
コメント
くんさん様
ウィーン学友協会の会場リポート、写真も文章も分かりやすく、大変すばらしいと感じました。私も来年、ウィーンフィルの演奏会に行く計画を立てているため、とても参考になりました。ありがとうございます。
そこで、追加と言いますか、知りたいことがあるのでうかがいたいのですが、ご回答いただけますでしょうか?
過日、私も座席を確保しました。
その席は3階席の後ろから2列目になります(ほぼ最後方ということですね)。
くんさん様も3階席だったとのこと。
そこでお聞きしたいのは、音の印象です。
1階席と比べて、3階席は音の低減はありそうとお感じになりましたでしょうか?
黄金のホールは音響が大変よく、3階席でも問題ないという評判は知っています。ただ、実際に3階席でコンサートに参加された方の体験談となると、説得力が違う気がします。
くんさん様は、1階席で聞かれたわけではないと思うので、1階と3階を比較できないのは分かっています。あくまで、3階席を体験された印象で結構ですので、音の聞こえ方について、もう少し詳しく教えていただけたら幸いです。
あと、写真はブログに掲載していただいていますが、3階席からのステージの見え方についても、もう少し印象を教えていただけたらうれしいです。
1階席と3階席で満足感が大きく変わるようなら、確保できるか分かりませんが、1階席でチケット手配の「リクエスト」を出そうかと、考えています。
以上、ご回答いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
私の個人的な感想ですが、3階席での音の聞こえ方は、音がよく混ざり合ったバランスの良い聞こえ方だと思います。
音の聞こえ方については、少なからず視覚的な要素も聞こえ方の感じ方に影響があると個人的には思っているため、
視界がほとんど遮らない3階席は、オーケストラメンバー全体を見渡せる事ができますので、
結果として聞こえ方の満足度も上がる素敵な席だと思います。
1階席については、おっしゃる通り経験がありませんが、席の構造上階段状になっていないため
前の座席の方の身長次第では視界を遮られる可能もあるのではと思っております。
その点、3階席は階段状になっていますのでよほどの条件でない限り、視界が遮られる事はないかと
思っておりますので、視覚的な面においては考え方によっては3階席の方が「見えにくい」リスクは
低いかと個人的に思っております。
もちろん1階席の方が、距離的に近いので表情とかは当然見やすいかと思います。
3階席の音の低減は全く気になりませんでした。
会場自体も、日本によくある〇〇ホール(大ホール)よりも小さくコンパクトで、音が遮られる構造をとっていないせいか
よく響いておりました。
満足感については、人によってどういう基準かが異なるので何ともお答えが難しいですが、
私はオーケストラ全体が見渡せるのが好きですので、3階席でも満足感は高かったです。
私は楽団員が見えないのは絶対に避けたかったので、1階席はリクエストしませんでした。
(例えば、指揮者やソリストの表情や動きを見たいのが一番の目的であれば、最前列とかが満足感が高いかと思います)
3階席は、ステージ全体は見えますが当然、ステージから一番距離があり楽団員は小さく見えます。
しかし、個人的には演奏が始まれば全く気になりませんでした。
ご参考になれば幸いです。
素敵な演奏会を!!
くんさん様
返信ありがとうございます。
3階席でコンサートを聞かれた感想、まさに私が聞きたかった点を的確にお答えいただきました。
なるほど、楽団員が見えない席は、私も避けたいと思っていました。コンサートは人と人が向き合ってつくる場ですから、そこで実際に演奏している「絵」が音と一緒にあるのとないのとでは、印象は大きく変わる気がします。おっしゃる意味は、よくわかります。
音の響き、バランスも良かったとのことで、安心しました。
3階席でもいいかなとは思っていたのですが、なかなか確信が持てなかったもので、お尋ねした次第でした。
おかげさまで、腹を決められました。このまま3階席のチケットを持って、ウィーンに飛ぼうと思います。
「暑かった」という実体験も含めて、大変有益な情報をいただいたと思っております。
こちらのブログを発見できて、良かったです。
ありがとうございました。